先生ブログ
<人の成功を支えてくれるもの①>
坂本英司(木崎校舎塾長)
2015年06月28日 3:25
こんにちは。
坂本英司です。
先日某中学校で3年生に課題が出されました。
それは修学旅行の新聞をつくるというもので、
締めには俳句を添えるという決まりでした。
ある生徒に俳句を考えて欲しいと言われ、
私なりに作ったところ、意味がわからないと却下されました(笑)
そのままお蔵入りするのも残念な気がするので、
突然ですが、吟じます。
今もなほ おとは途切れぬ 滝祠
(今でもまだ 音が途切れることのない 滝祠)
掛詞(※)という表現技法を用いて清水寺を詠んでみました。
さて、今回はAという人物の中学時代のエピソードを元に、
「人の成功を支えてくれるもの」についてお伝えします。
文章が長くなりそうなので、何章かに分けて記載します。
それでは第1章の始まりです。
<第1章>
「あ、あいつら。」
夜更けのネオンを淡く反射する歩道を歩いていたAは
重低音を響かせながら車を走らせる男達に気づいて足を止めた。
「あの時とまったく同じメンバー。。」
ドライバーは派手な服に身を包み、その上には首輪のようなチェーン。
片方の手をハンドルに置いた彼は、もう片方の手でお酒を口に運んだ。
男達はAに気づかないままその傍らを通り過ぎ、後方に吸い込まれていった。
人は行動した通りの結果を得る。
~10数年前~
Aの中学校では学級崩壊が多発していた。
生徒が教師を殴って病院送りにしたという話や、
教師がうつ病になったという話は日常茶飯事だった。
Aは部活の顧問とのいざこざをきっかけに
中2の始め頃から学校生活に対してのあらゆる興味を失った。
そして、学校内では真面目で素直な生徒を演じつつ、
夜になると不良仲間とつるんではくだらない戯れに興じ、
ただなんとなく毎日を消化しながら過ごしていた。
Aは「教師なんてどうせ口だけだ」と思っていたし、
「『明るい未来』なんてくだらない妄想だ」と蔑んでいた。
実際担任はAが不良グループと関わっていることに薄々気づいていたし、
教師たちも不良グループに形だけの注意しかしていなかった。
Aの住む世界は色彩を許さず、くすんだ灰色が広がっているだけであった。
いつかの三者面談でAの母は担任にこう言われたことがある。
「Aくんはときどき私のことを非常に冷たい目で見ているような。。」
「えっ、そうなんですか。済みません。。」
Aの母は申し訳なさそうに謝っていた。
そんな状況にAは笑顔で応えた。
「やだなぁ先生、全然そんなことないです。
素晴らしいお仕事をされていると思いますよ。」
教師たちにとってAは接しづらい生徒だったに違いない。
「この先何年つまらない人生を過ごすんだろう。 」
Aは空の海を泳ぐ鳥を眺めてはいつもそんなことばかり考えていた。
そんな中、Aは人生を左右する事件に巻き込まれる。
(第2章に続く)
※一つの言葉に二つの意味を持たせることを掛詞という。和歌の表現技法。
ちなみに私の句は「おとは」で「音は」と「音羽(の滝)」を掛けています。
例1:大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立
(ふみ:踏み/文=手紙)
例2:たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む
(いなば:稲羽/往なば=行ってしまったなら、まつ:松/待つ)
例3:わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ
(みをつくし:身を尽くし=身を滅ぼし、澪漂(みおつくし)=航路の目印)
ここで残念なお知らせがあります。高校入試にはまず出ません(笑)
(でも、高校の定期テストには出てくるよ!)