先生ブログ
「やったつもり、分かったつもり・・でもテストになると出来ない子」と、「実際に出来る子」の差は? by中山
2016年10月26日 21:33
どうも こんにちは、中山です。
中間テストの順位も出てきた頃と思います。 南浦和にある学習塾のほとんどでおそらくは次のテストへ向けての対策を行っていることと思いますが、現在駿英ゼミナールでも 本人たちとの面談 そして お父様お母様との面談を実施している最中です。そして講師間のミーティングにおいて対策を立てているところです。
中学3年生は ここからが本番ですので 保護者会でもここからの日程、駿英ゼミナールでの 指導や受験対策のお話をさせて頂きます。ご参加よろしくお願いいたします。
(受験生に関しての細かい内容は後日 ブログにて教務主任の山本の方に依頼しておりますので後日に)
中学1年生、2年生に関しても 2学期というところは 彼らの生活環境、勉強内容的にも分岐点となる時期になります。大きく ここから子供たちの勉強に対する意識は分かれて行く時期です。
本日はこの時期におそらくは最も 生徒本人そしてご家庭の方でも 不安に思われていたり、誤解をされている可能性のある「元々頭が良い悪い」や「勉強の要領の良し悪し」に関して、おそらく別の学習塾とは違う切り口でいわゆる 「やっても実力が伸びない子」「勉強習慣が付かない子」そして「そんなにやっているように見えないのに出来てしまう子」の間に横たわる 「決定的な差に」ついて お話しさせていただこうかと思います。中学1、2年生をモデルにさせてもらいます。
ではまず本題に入る前に、 私自身の話をさせて頂こうかと思います。 駿英ゼミナールは 5年前に今の辻校舎で10数人の生徒とスタートし、今は白幡校舎、木崎校舎、別所校舎 にて子供たちを指導していますが、 私自身の指導経験としては 今年でちょうど10年目になります。のべ指導や面談等で関わってきた生徒さんの数は500は超えていると思います。
駿英ゼミナール辻校舎を始める前には 大手塾、家庭教師、個人経営の塾で指導をしてまいりましたが、どうしてもその中でしっくりこなかった点があります。それは何かと言いますと
「子供達に対しての 外からのレッテル張り」というところでした。 学校や周囲の人間たちからのいわゆる「出来る子」「出来ない子」というレッテル張りによって 可能性をつぶされている子たち (出来るというレッテルによるプレッシャー、もしくは出来ないというレッテルによる自己評価の低さ) の多くは今までに出して来た 「結果」によってのみ 評価されていました。
いわゆる大手の塾では「入塾試験」によってレベル分けされます。 確かにそれは ある部分では必要なのかもしれない。授業の進度、本人がついていける、行けない、もありますし 今は特に 学習障害(この呼び方は個人的にはかなり違和感を感じさせるものなのですが、これに関してはまた後日書かせてもらいます)と呼ばれている子供達 の事も含めて考えれば 全員を同じ教室で指導することには、確かに 指導する側、受ける側双方にとってデメリットがある。
それでもやはり 周りの大人が「結果だけ」を見て一喜一憂する。学習塾側も結果を外部に宣伝し それによって「結果」を子供にあおる 形で大人たちが 手を組んで子供を追い立てる。
「そりゃあ学校に行きたくなくなる子も増えるし、耐えられないストレスで非行や引きこもりに走る子も出るわな」 というのが 大手学習塾や 引きこもりの子の家庭教師をやっていた頃に私の 考えていたことでした。
彼らにとってスタートで重要なことは「プロセスを認めてもらうこと」「結果だけで決めつけない、判断されないこと」 だと私は思っていたのですが、 そこだけでは結果が出ないとか、実績を出さないと云々かんぬん という話ばかりしかしない 当時の上司や同僚に嫌気をさした私は
「自分の考えに共感してくれる先生だけで塾をやろう」と考え、当時引き取り手を探していた大赤字の学習塾を 引きとる形で 新生駿英ゼミナール辻校舎をスタートしました。
まずは「今までの結果でレッテルを張らないこと」「子供の可能性を伸ばしてゆく為にはプロセスを見てあげること」 これが こどもが能力や積極性を伸ばしてゆく上での最低限の土台であると考えています。 しかし その上で、重要なことは
「目標設定能力」と「学習能力」の育成です。 今日はこの「学習の能力」の育成に関してお話をさせて頂きます。
表題にありますようにいわゆる
A「分かったつもりなんだけどテストだと出来ない子(プラスしてそれより悪い状況として、もう諦めて全くやっていない、やる気がない、何をやればいいのかもわからない子もこちらに入ります)」
それとは逆に
B「あまりやってるようには見えない、でも出来る子」
大きく分けてこの2パターンの子がいます。 この子たちはそれぞれ共通した特徴があります(これはスマホやlineが無かった10年前と変わっていません)
Aの子が良く言うセリフ
「分からない所を教えてほしい。やっても出来ない」
「分からないところが分からない」
「教え方が(学校の先生や塾の先生が)下手だ」
「お母さんのせいだ(教えてくれない)」
「親にも教えてもらいたい」
「分からないから手が付けられない」
「何をすればよいかわからない」
Bの子が言うセリフ
「もう少し時間を下さい。解けそうです」
「前には出来てたはずなのに悔しい。」
「こういう問題が苦手です。プリントを下さい」
「こういう問題は余裕です」
「待ってください。ヒントはまだいりません。
「もう少しやっていれば 〇〇点は行けたはずなのに」
どうでしょうか? この二人の間に横たわっている差は
「記憶の引き出しの開け方」に差があるのだと、駿英ゼミナールでは考えています。
Aタイプの子は 一度理解したものがあっても、記憶の引き出しの中にしまった後、自分で引き出す行為を取りません。 どんな子でも放っておけばどこにあるのか分からなくなります。そうすると
「分かりません、教えてください。」になるのです。教えてもらえば 「ああ!!そうだった!」
でもこれでは永遠に成長しません。なぜなら 大人に「記憶の引き出し」を開けてもらっていますから、自分で開ける方法を知らないからです。大人が横でヒントをくれれば出来る、段階から成長できないんです。一人ではできません。 勉強面での「自立」が出来ない状況ですね。
Bに向かう為には一つレベルをあげる必要があります。
「何かを調べれば思い出せる、引き出しを開けられる」状態です。 これは時間はかかりますが確実に上達してゆけます。テキスト等を見ながらでも「自分で引き出しを開ける作業」をしてゆけば だんだん スピードは速くなり、次に進めます。
次は「何も見ずに思い出せる」状況です。 記憶の引き出しを何かを見ながら引っ張る練習を繰り返してゆけば、そのうちに 何も見なくても唸りながらでも 思い出せるようになります。 ここまでくれば テストでもなんとかなりますよね。
そして最後は「考えなくても引き出しを開けて必要な知識を取り出せる状況です」
こうなればいわゆる「あの子は時間をかけなくても良い点を取れる子」「ひらめきのある子」と言われる状況です。
まとめますと
レベル1 一度習ったことなのに誰か大人に聞いて、安心してしまうレベル。記憶の引き出しを開けない。成長しない
レベル2 何かを見ながらなら「記憶の引き出し」を開けて思い出せる。時間はかかるが成長できる状態。
レベル3 何も見ずに 思い出せる状態。「記憶の引き出し」を開けることには 慣れてきている。テストで解答を出せる
レベル4 意識しなくても「記憶の引き出し」から必要な知識を引っ張り出せる状態。ばんばん問題を解いてゆける
これらのレベル分けの中で一番移行に手間がかかるのが 実はレベル1から 2までなんです。 なぜなら「全て丁寧に何回も教えてくれる」先生は良い先生なのですが、子供を成長させません。言ってみれば いつまでも補助輪なしの自転車の後ろを支えてしまう先生なんです。
ここを、転んでもいいから一人でやってみよう!!と手を離せるのか? しかし こうすると「あの先生は教えてくれない」と言われてしまう可能性もあります。 でも どう考えてみても 子供の学習能力を成長させてゆく為に必要なことは「何か見てもいいから自分でやってみよう!記憶の引き出しを自分で開けてみよう!」これしかありません。 こうやって「自分でやってみる」「記憶の引き出しを自分であけてみる 」チャレンジをしない限り成長はありません。
そして「繰り返し、繰り返し」の練習です。繰り返し思い出す練習を何回もやっていくことだけが能力を引き上げてくれます。(どんなジャンルの天才と呼ばれる人間も、繰り返しの練習の中で作られていきますよね)
しかもこれは才能は必要ありません。 じゃあなんで全員がこの状態になっていないのか?伸びない子がいるのか? 能力を伸ばさせない要因は 勉強上での過保護です。一度記憶の引き出しに入れたものなのに全部教える。毎回忘れたら大人が引き出しを開けてあげる状態では、一瞬子供は「分かったつもり」になりますが いつまでも「出来る」ようにはなりません。(テスト会場に先生が同行できれば出来ると思いますが。)
ですので駿英ゼミナールでは 「ゆっくりでいいから、何か見ながらでいいから思い出してやってみよう。」「前にやった問題のまねでもいいから自分でやってみよう」と指導しています。 つまりレベル1から2に引き上げる作業、これが最も重要だと考えています。
これを根気強く 「繰り返し」やっていけば 上に書いた レベル1⇒レベル2⇒レベル3⇒レべル4と 個人差はありますが 確実に成長はしてゆけます。 その子その子のレベルにあった 声掛けや、課題、そして目標設定をしながら、一緒に階段を上ってゆく感覚です。
「焦らず、根気強く、大人が絶対にあきらめない。プロセスをしっかり見守ってゆく。」
どこかで聞いた言葉ですが、 これしかないですよね。
みんなの成長を応援してゆきたい。 みんな成長してゆけますから、お任せ下さい。
次回は「目標設定能力」に関して 書かせてもらいます。それでは。