先生ブログ
キャパシティを広げる by 中山
2016年12月15日 19:02
どうも中山です。
小学生中学生に限らず、「勉強で点が取れる」「ペーパーテストで点が取れる」ということと、「自分一人で社会に出て力を発揮できる、皆から信用される立場を手に入れる」ことは 「別な能力」を求められることなのではないかという気がします。 つまり勉強だけできてもそれでそのまま「社会で活躍できること」には繋がらないということです。最近元塾生から相談を受けました。
「大学の授業とアルバイトとサークルなどの両立が出来ない。出来ればどれかを辞めたいが、バイトは急にはやめさせてくれないし、サークルにいかないと気まずいしどうすればいいのか」 「自分の時間なんか無くて何のために大学へ行ったのかが分からない。もう嫌だ」
こんなことを言っていました。
彼は中学時代は所謂優等生タイプで ペーパーテストなどには強いタイプでしたが、確かに 当時から言い訳が多かったり、優先順位の付け方を上手くつけられず 急に何かを投げ出すようなところがあるタイプでした。
ただ テストでは点はとれますから 表向きは問題なく見えるんですが、私としては非常に心配な部分は当時から多々ありましたが、当時は「社会科見学」や「キャリア教育」など、勉強以外での成長を即すための イベントが塾内にはありませんでしたし、こちらが厳しく注意すると ご家庭の方から そこは放っておいてくれと言われてしまうタイプのお家でしたので、こちらとしては 一抹の不安を覚えながら 指導していた記憶があります。
ただ、いま 大学生になって 自分で選んだ学校なのに 嫌だとか、自分で始めたバイトなのに明日辞めたいとか言う彼に対して 私が伝えた言葉は
「良かったじゃないか、社会に実際投げ出される前にこういった経験と気持ちを先に体験出来たから良かっただろ。それだけでも大学に行った意味はあると思うよ」でした。
また、
「社会に出て得意なこれだけやってればいいという仕事は少ない」という話をしました。
社会でもどこでも平行してあれとこれを進めて行かないと、という場面の方が圧倒的に多いですよね。例えば芥川賞作家ですら本当は本だけ書いていたいけど、それでは売れないから自分の本を売る為にテレビに出たり、本当はしたくはない雑誌にコラムを寄稿しているだろうし、歌舞伎役者も本業に興味持ってもらうためにCMにでたりドラマに出たりしているのも本当は面倒かもしれないが、本業の為には頑張っている部分もあるかもしれない。ああいう才能一本で食べてるような職種の人ですらそうなんだし、みんなそうだよというような話でした。
本人はうなずいてはいましたが、 でも大学の成績もとらないと、云々と言うので
「大学とバイト、サークル位は両立できるように頑張れ。 全部で100点じゃなくていいんだから、力の抜き方を練習すればいいんだ今のうちに。将来仕事一つだけの人生でもないだろうから、今から練習だよ。」
厳しいようですがそう伝えました。だって今甘いこと言ったって、何年かすれば就職活動をして社会に出て行くわけですから、今からやれない理由をつけて投げ出す癖はつけられないと思いました。
彼に限らずですが 勉強が出来ることと「自分のキャパシティ」を広げることはイコールではないんだなと感じました。 学生時代優秀なのに、社会に出て潰れてしまう子のほとんどは
「勉強や、決まった範囲の内容を覚えてペーパーに落とし込む作業」には強くても、
「いくつもある求められる仕事、やらないと滞る課題や人生の役割を並行してやる」為の キャパシティが なさすぎて、 潰れてしまうのではないかという気がします。
もちろん キャパシティも勉強も、どちらも出来ればベストですが、どちらが大事かと言われたら個人的には キャパシティが広いほうが大事かな、と思います。
浦和高校の校訓に 「三兎を追え」というものがあります。 二兎ではなく三兎です。一般的には 二兎追うもの一兎も得ず ですから なんこも追うなよ、一個を追えよ という意味で使うものですが、あえて三兎を追え なんです。
素晴らしいと思います。 逆に受験勉強に専念するために 部活をさせないとか、やめるとか、勉強だけやればいいよ、そんな風な環境で東大に受かった「エリート」に何かを任せたいと思うでしょうか?頼りなくないですか?
出来ない「いいわけ」なんか聞きたくないですよね。
だから「キャパシティ」を広げるためには 負荷を自分でかけるしかないですよね。そしてキャパシティが広がれば 「これくらいは余裕で出来るよ」となりますから、チャレンジする気力も起こって来ると思います。
つまり 「普通にこれ位はできるよ片手間でも」 こういった感覚を作ってゆくこと。
頑張らなくても「これ位は普通にやれるよ」 という基準を上げてゆくこと。
これも教育の大きな役割ではないかと 駿英ゼミナールでは考えています。
ですので みなさん、 今後もそこそこの課題を塾のほうから出す機会もありますが、 一緒に頑張りましょう。 最初大変に感じても成長と共に楽に、楽しめるようになっていきますから。皆さんの成長を期待しています。