先生ブログ
個別指導とクラス授業 の良し悪し 後編 by 中山
2016年10月19日 15:50
中山です
山本さん、鈴木さんに書いてもらったブログの前の、つまり2個前のブログの 続編です。
前回「クラス授業」と「個別授業」の違いは何なのか? 両方のメリット デメリットはなんなのか、というスタートから、 そもそも何が目的で学習塾に通うのか? 目の前の因数分解や 関係代名詞だけ出来るようになればいいのか?
そうではないですよね。子供達がこの先 「自分で目標を持って」「自分で学習習慣を作れるようになる」 つまり 自立して 「親離れ、子離れ」が出来るようにサポートしてゆく為に 学習機関が存在するのではないか、 という話をさせて頂きました。
つまり「個別指導」なのか「クラス授業」なのか の前にまずは 解決したい問題や 身に付けて行ってもらいたい能力の話をさせてもらいました。
そして子供の学習能力を育ててゆく為に必要なものは「習慣作り」と「モチベーション作り」だと書かせてもらいました。
ちょうど 先だって 2学期の中間テストが終わりましが、テスト後の振り返りを講師陣としてゆく中で出てきた ちょうどよい例がありますので お伝えさせて頂きたいと思います。
①「モチベーション」に関しての例
〈Aさんと 佐原先生の場合〉辻校舎・白幡校舎
Aさんは今年の夏前に入塾してきた高校1年生の生徒さんです。 中高一貫校に通っているのですが なかなか本人のヤル気も出ず 某大手学習塾の「個別指導」にかつて通っていましたが全く効果は出ず、本人が塾に行きたくなくなりやめたということでした。
私が彼女と面談をして感じたことは「何か好きなものに対して」取り組む姿勢は 非常に強いということでした。 部活や小学校時代の習い事(スポーツ)に対しては 実力、意欲、自信 全て持っています。勉強に関してのみ 嫌いでやる気が出ない様子でした。
ここで私が感じたのは 「モチベーション」つまり勉強する目的の欠如です。それを探ってゆくことにしました。 その中で出てきたのは「留学」という言葉でした。 海外に留学してスポーツ科学に関して勉強したい、バスケットや水泳の本場で 強い国で そういった勉強はしたいということでした。
じゃあどこの国がいいのか? それを 一緒に捜し、また次回までにもっと詳しく調べてくるようにという勉強内容以外の「宿題」も出しました
以前の塾では宿題は全くやらなかったという彼女ですが、次の週「2つ」ともの宿題を彼女はしっかりやってきました。
そうやって勉強と並行して 留学に関して調べてゆく中で 彼女はやる気を作ってゆきますが、ここで一つの壁にぶつかります。
「お母さんが認めてくれるかが分からない」ということです。
何故認めてくれなそうなのか? という点を彼女にリスニングしていった結果出てきたのは
①今まであまりにも勉強から逃げてきたから、留学は逃げの口実だと思われる可能性がある。
②自分の本気度が伝わらない。つまり適当な思い付きだと思われる可能性がある。
③基本的に適当な人間だと思われている可能性がある。つまり信用がない。今までの行動より
じゃあどうすれば信用してもらえて、 応援してもらえるようになるのか? 彼女によくよく考えてもらいました。彼女が出した結論はこれでした。
「目の前の中間テストで今までと違う姿を見てもらう。本気でやれば頑張れるところを見せたい」
というものでした。
テスト2週前より 授業の無い日にも 塾に来て 自習をする、 先生に質問をするAさんの姿を見られるようになりました。
テスト前日も夜遅くまで 佐原先生に 物理の問題を習い お母様が迎えに来ていただいたときに言ってらっしゃったのが
「こんな姿は初めて見た。びっくりですね」
というものでした。夜遅くまで「本人のヤル気があるなら」と教えていた佐原先生も素晴らしいですが、やはり 周りから応援される ヤル気とモチベーションをAさんが身に付けてきたということが、物理が出来るより何よりも大きいのだと思います。
今回は 「習慣」「モチベーション」のうちの 「モチベーション」を作ることが出来ました。ただ、まだまだ「習慣」は 作って行く段階なので、やっている感覚よりも 結果は出ないのが現状だとは思いますが、今上がってきている 「モチベーション」をしっかり保っていく中で継続していければ 「習慣のレベル」も上がっていくことと思います。 今後も楽しみです。
②習慣に関しての例
〈B君 高橋先生〉木崎校舎
B君は中学2年生の生徒です。
中1の頃から 英語が苦手で 学校の宿題もなかなかやらない。 文法的な宿題も 数学の問題も 自分一人で解こうとはしません。
そこで高橋先生が今回のテストで考えたのは「宿題の内容」と「自習時間の確保」です。
宿題の内容は取り合えず 今の段階で 英語の文法的な内容は 一人でやるのは相当に難しいということで 「学校の教科書内容の暗記」「英単語の練習」に絞りました。
まずはそこで達成感と やる気を作ってもらいたい。そして「自習時間」つまり習慣に関しては 自習日を何日か設定して 必ず数学の問題をやらせる。 必ず誰かに見せて帰ること。 これを徹底させることにしました。
そうすると最初は 辛いとか面倒と言っていた彼も 慣れてしまえば 習慣を作るほうが「楽」なんですよね。 テストが終わっても続けたいと言っているようです。
木崎校舎の先生とは普段は会えませんが イベントの会議などで 月に何回かは和える先生もいます。 そうした時に こういった生徒の情報を共有しているので、 今回お話しした「習慣作り」「モチベーション作り」の話は どこの校舎でも 出てきます。
ここで話を戻します。 さて上記の二人は 「個別」なのか「クラス」なのか?ということですが、 Aさんは 個別、Bさんは クラスです。
正直 どちらでも 変わらないです。 ただ大事なことが一つだけあります。
それは何かというと子供に 何を身に付けてもらいたいのか? どこを改善したいのか?それを先生たちが共有出来ているのか?ということです。 改善策は一つではありませんが、大事なことは今その子にとって 必要なことが なになのか? そしてそこに対してどのように取り組んでゆくのかという大人側の姿勢が 子供には伝わります。
学校で先生のいうことを聞かない生徒がいるという話を聞くことがありますが、 そういった先生の 熱意がおそらくは なんらかの原因で無いのか伝わっていないということが原因ではないかと 思います。「本気で大人が向き合ってくれることをどんな子供も本音では求めている」と 駿英ゼミナールでは考えています。
だから方法論も大事ですが 土台はそこですよね。
ではクラス授業と 個別授業の差はないのか?といえば それは2点だけあります
①「学校の授業速度の先取りをするのか」もしくは「学校の授業とは関係ない(前の学年の予習や、私立の学校に通っている子)内容をやったほうがいいのか」
もちろん前者が クラス授業 で 後者が個別です。
② あとは「分かった」と「出来る」 は違いますよね。 「分かった」状態に達しているのに個別授業に甘えている子は ある時期から伸びなくなります。 (個別塾に行っているのに伸びない子はこのパターンです。駿英では、この時点でこの子は自立の為にクラスへ移ったほうがよいと考えています。)
分かった のちには 自分で思い出しながら 初めは苦戦しながら解く作業(「出来るようになる為の練習」)が必要ですが、個別の授業だと「先生に教えてもらえばいい」と甘えがちになるので ある時点から伸びなくなります。 本人は居心地がいいので そのままが続くというパターンです。
ただ「分かった」ラインをまだ越えられない子は 「個別」でやる必要がありますが、 やはり「分かった」ラインを超える実力が付いたら 「クラス授業」に移り「出来る」為の練習に移る方が レベルは上がっていきます。
そして駿英ゼミナールで「クラス授業」「個別授業」どちらも設置しているのは、どんな子も時期により 適性が変わる可能性があるからです。
その子その子 の今現在の 適性を見ながら 適切な授業形式を選択していってあげることも、非常に重要だと 駿英ゼミナールでは考えています。
次回は 「分かる」と「出来る」の差に関して書かせてもらおうと思います。
「分かったつもり」と「本当に出来る」の差と言った方が 適切かもしれないですね